【要約】クオンツ入門 予測を捨て、分布を読め ― クオンツトレードのためのモーメント分析とエッジ探索フレームワーク [Qiita_Trend] | Summary by TechDistill
> Source: Qiita_Trend
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// Problem
クオンツトレーダーが、市場の真のリスクや収益機会を見落とす問題に直面している。従来の分析では、価格の上下予測に固執しすぎる傾向がある。これにより、以下の課題が生じる。
- ・正規分布を前提としたモデルによる、ファットテール(極端な値動き)の見落とし。
- ・標準偏差(ボラティリティ)のみに依存した、不完全なリスク管理。
- ・平均的な値動きと、稀に発生する急変局面の混同による、誤った戦略構築。
// Approach
著者は、分布の性質を多角的に分析し、特定の条件下でのリターンを特定するフレームワークを採用した。まず、統計量を用いて通貨ペアごとの性格を定義し、次に条件を絞り込むステップを踏む。
1.モーメント比較:歪度と超過尖度を算出し、分布の非対称性と外れ値の発生しやすさを特定する。
2.方向別リターン分析:上昇足・下落足ごとに未来リターンを算出し、モメンタムや回帰性を確認する。
3.急変後分析:リターンの下位1%〜5%を「急落」と定義し、その後の平均回帰リターンを検証する。
4.ボラティリティ階層化:過去20本の標準偏差を用い、高ボラ局面での挙動を分離して分析する。
// Result
分析の結果、AUDJPYにおける急落後の平均回帰エッジが明確に浮上した。これは、特定の条件下で高い期待リターンが得られる可能性を示唆している。
- ・AUDJPYの下位5%急落後、48時間後の平均回帰リターンは+0.2024%、勝率は60.06%。
- ・AUDJPYの下位1%極端急落後、48時間後の平均回帰リターンは+0.3856%、勝率は62.32%。
- ・ただし、これらは取引コストや最大逆行幅(MAE)を未考慮のエッジ候補である。
Senior Engineer Insight
> 本手法はエッジ探索の「入口」として極めて論理的である。しかし、実戦投入には高いハードルがある。まず、終値判定と同時エントリーによるリーケージを排除し、次足始値での検証が必須だ。また、AUDJPYのような高ボラ通貨では、MAEが非常に大きくなる。平均リターンがプラスでも、途中のドローダウンで破綻するリスクがある。スリッページやスプレッドを厳格に控除した上で、WFO(ウォークフォワード最適化)による過剰最適化のチェックを完遂しなければ、実運用での成功は望めない。